教育ってもん

気が付けば子供の為と教鞭を振るう手が
目的を離れ子供達を傷つけているだけの事がある。
人の親であれば誰しもが味わう自己嫌悪だと思う。
俺は人の親ではないけど、特殊な家庭環境の中でそれを良く味わう。
そして、味わっても抜け出せぬ大人の妙な意地をよく目にする。

俺の１０キロマラソンにチャリンコで付いて来る甥っ子。
その後の努力に感心した目を向ける。
そして、自ら努力の入り口に立ち、辛さに身を投じ、助けを求め、
散々傷つけた事もあった手を差し伸べる俺に笑顔で応える。
最初は出来なくて、諦めそうになりながら、
「最初から出来る奴はいないんだよ。おにいちゃんだって出来なかったんだ。」
その言葉を励みにやり続ける甥っ子・・・
「うおぉっ！」ついに出来る見込みを感じるところまで行ったんだ。

その達成感に真っ暗になった外で馬鹿騒ぎしながら
「な！努力すれば出来ねぇ事なんか無いんだぞ。」
自分にも言い聞かせるように甥っ子に何度も何度も教えてたよ。

子供はさ・・・楽しい事に敏感で、辛い事に目をそむける。
人間の本能がまだまだむき出しの状態に子供に
俺達はどう教えていき、どう育てていくのか。

この手で叩くのか・・・この手で支えるのか・・・
この喉で叫ぶのか・・・この喉で褒めるのか・・・
この目で睨むのか・・・この目で見守るのか・・・

子供たちは見てるよ。良いとこも悪いところも
大人が大人である以上、子供は俺等の心を見ようとはしない。
否、隠してるのは俺達な気がするけどね。

走り回って、１つの達成感に酔いしれながら
「おにいちゃんと風呂入る！」って大喜びの２人。
不思議だね・・・俺は良く叱る・・・でもすげぇ俺を好きって言ってくれる。
裸でバカみてぇに騒ぎながら、シャワーに隠れて涙が出た。