師

前の事務所で数少ない俺が師と呼ぶ人から電話があった。
喉頭癌で声帯を切ってしまった故に、食道で話すという俺たちの常識では
計り知れない苦労をし、現在若手の育成に心骨注いでいる人なんだ。

聞き取り辛いけど、しっかり声にはなっている師匠の声に
凄く安堵を覚え、嬉しくて長電話しちまった。
向こうも向こうで、冗談を交えながら俺の近況を気にしてくれているようだった。
って、離れてまだ１ヵ月ぐらいなのにね（笑）親心ってやつかな・・・嬉しい。

その師匠が本当に言いたかった事はすぐわかった。
ずっとそう言う話に持って行きたがるからさ。そして、俺が今したい事でもあるから
少し恐かったね（笑）なんで知ってるの？みたいな。

「今、新たな道を行こうとしてる山田君をお世話になってきた師匠さんに報告しにいきなさい。」

俺が師と思っている人は・・・多くいます。

今、俺の全てであるリアリズム演劇を学ぶ場で
本当に愛情をかけて、自分の経験から導き出した言葉で俺を導いてくれている。
ボビーやつっちぃは然り。

辞めた事務所であった、本音で話せる人。ＦさんとＳさん、そして今回電話してきたＨさん。
演技のノウハウを教えてもらったし、それが今は俺に合っていたかと考えれば
少し複雑な話になっちまうんだけど、役者の魂みたいなものは
確実にこの人達から学んだ。厳しさもね。

そして、俺が歌でデビューした際にプロデュースまでしてくれた歌の師匠。

この人が一番デカいのかもしれない。今回の電話でＨさんが言ってたのはその師匠の事だって
それもすぐわかった。不思議なもんで一度しかＨさんに歌の師匠の事
話さなかったんだけどね。Ｈさんは凄く拘ってた気がする。その真意はまだわからないけど。
トラウマも愛情もいただきました。それぐらい俺にとってシコリにもなっている師。
引っ越したら会いに行くつもりだったけど・・・Ｈさんは急げって・・・何故だろう？？

遡れば、高校の時に友人を自主退学させるところまで追い込んだ生活指導の先生に
手を出してしまい、停学かどうのこうのってうるさく騒がれた時に
「山田の心はホント涙が出るほど嬉しい」って
全てをチャラにしてくれた担任教師のＦさんも会って話したい人だったりする。
今はどっかの高校行っちゃって連絡取れずなんだけどね。
アルバムに大きく書かれた「有名になれよ！」って言葉には今でも支えられてるしね。

俺の心の奥に師は多く存在し、俺の背中を押したり、足を重くさせたり（色んな意味でね）
今の俺に如実に影響を与え続けています。
ホント、不思議なもんでね。友人や親からもらう影響と同じ様に
でも的確で大きな影響なんだよね。マジでＨさんの電話をキッカケとは言わないけど・・・
電話一本であんなに心が躍るとは・・・。本当に感謝を言いに行かなきゃな。

考えております。