！ニンゲン！

今日、稽古の中でシナリオライターの方が
とある人（以降、彼女）に俳優のあるべき心のオープンさを説いていた。
それを聞いた彼女が言った言葉は俺の心を別の意味で震わせた。

「私、人間嫌いですから！」

クスクスとスタジオ内に響く含み笑い・・・。
俺は全く笑えなかった。でも、容認しているわけでもない。
彼女が言った言葉にどれだけの重みがあろうが何だろうが
俺は決して認める事が出来ないのだ！

俺も一時期人間不信だった時代がある。
「一生友達だから。」「世界で一番愛してる。」「ずっと味方だよ。」
その他にも沢山ある「約束」という信頼を、
酷い形で裏切られて来たから、本当に一時期独りで良い！って
思っていたりもしたもんだった・・・。
それでも愛を持って接してくる沢山の人達・・・
興味を持たずにいられない多くの個性達・・・
俺はそう言う人達に対し、中途半端な気持ちで付き合う事になった。
無論、それが耐えれる訳も無く・・・
申し訳ないと思う事で不信から立ち直った。

過去がどうであれ、今が良ければ全てよし！！！

そうじゃねぇか？昔どんなにクソ野郎に出会おうと
今、自分の周りにいる人がそんな人とは限らないじゃねぇか！
イジメを受けた過去があったって、虐待を受けた過去があったって、
それを引きずって生きていたら運命ってやつの思う壺じゃねぇか？
辛いトラウマ、ひどいコンプレックスだって
笑い飛ばして前に進めや！！そうすりゃそれを愛してくれる人が
いつか現れるだろうが！！現れないと最初から思ってたら現れねぇよ！！

俺は今の事務所で良く言う言葉がある。

ウザかったり、空気が読めなかったり、挙動不審だったり、
とにかく変だって人に言われる事って一種の魅力だよ。
だって、他の人が持ってないものなんだぜ？才能だろ？
こういう業界だったら尚の事、自信持って良いようなもんだ！

俺はイジメにもあった。悪い事もやった。
裏切られ、捨てられ、変な病気にもなった事もある。
でも、それを引きずってないぜ。それを血とし肉として生きてるよ。

「人間が嫌いですから！」って大きく叫んだ彼女の目は
少しも輝いてなかった。本当に自己主張が出来てる人の目は光るもんだ。
むしろ、目線も弱く、演技も小さい・・・自信の無さが思いっきりだ。
俺はそんな彼女にこうなる前からずっと言ってきた。気になってたから。
固く閉ざされた彼女の心が開かれる時が来るかはわからんけど
少しでも気付いてくれれば良いのに・・・

一生懸命、その扉の存在を教えようとしている
シナリオライターの方の説教を聞きながらずっとそんな事を考えていた。

安心も不安も愛も友情も希望も絶望も怒りも笑いも涙も苦しみも
全て与えてくれるから・・・俺は人間が好きだけどね☆皆はどうよ？